平成6年度に確立したブタ膵ラ島の分離法と培養系を用いて、ブタ‐ヒト間異種膵ラ島移植における拒絶反応をシュミレーションし、そのメカニズムの解明を進めた。 1)ヒト血清によるブタ膵ラ島に対する補体媒介性細胞障害活性をMTT assayにより検討した結果、ヒト血清には、ブタ膵ラ島に対する補体媒介性細胞障害活性は認められなかった。 2)分離ブタ膵ラ島より得られた凍結切片を用いて、ヒト血清中に存在する異種自然抗体がブタ膵ラ島に接着するかどうかを免疫組織染色で検討したところ、ヒトIgM、IgGともにブタ膵ラ島に接着することが判明した。 すなわち、ブタ‐ヒト間異種膵ラ島移植においては、ヒト自然抗体がブタ膵ラ島に接着するものの、補体の活性化による超急性拒絶反応は惹起されない可能性が示唆された。さらに、細胞性免疫、種々のサイトカインの影響につき検討をすすめ、拒絶反応防止対策の確立のための研究が可能となった。
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