研究課題/領域番号 |
06671222
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
永井 祐吾 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00172495)
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研究分担者 |
谷口 勝俊 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (90106568)
椿原 秀明 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20244741)
谷村 弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10026990)
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キーワード | ヘマトポルフィリン誘導体 / w / o / wエマルション / マイクロ波 |
研究概要 |
1)polyhematoporphyrin ether(PHE)処理KATO-III細胞浮遊液に種々の条件化にマイクロ波を照射し、温熱効果によらない。すなわち温度上昇を伴わない条件下でのマイクロ波細胞破壊効果を検討した結果、15w、10分で57.3%と無処置群13.2%。PHE単独群20.2%、マイクロ波照射単独群29.5%に較べて、有意に高い殺細胞効果を示した。この事実より、従来報告されていたように、ヘマトポルフィリン誘導体のエネルギー励起にマイクロ波は使用可能であることを確認した。 2)PHEw/o/wエマルション(含有率PHE0.5mg/ml)を二段階乳化法を用いて作成した。乳化剤は、親油性乳化剤としてテトラグリセリル・縮合リシノレートを、親水性乳化剤としてデカグリセリル・モノオレートを使用した。作成したエマルションは、平均粒径が約2.7μmで、常温保存で肉眼的に少なくとも50日間は分離しないことを確認した。 3)白色家兎(n=5)の大腿部皮下にVX-2癌を移植し、腫瘤形成後に、作成したPHEw/o/wエマルションを腫瘍周囲に局注し、6時間後の腫瘍内および血清中のPHE濃度をHPLC法にて測定した。その結果,PHEエマルション局注群ではPHE水溶液全身投与群(PHE2mg/kgi.v.,n=5)の1/4濃度にもかかわらず腫瘍内10.7±0.1μg/mgと、同等の腫瘍内濃度を得た。また、血清中濃度は検出限界の2.5μg/ml以下であり、全身投与群の8.1±0.9μg/mlと比較して有意に低値であった。本年度の成果として、PHEw/o/wエマルションの局所投与は従来の全身投与に比較してはるかに低投与量で、血中濃度を上昇させることなく、同等もしくはそれ以上の腫瘍内濃度を得ることが可能であることが判明した。今後、PHEエマルションの至適投与時間を決定するとともに、新規開発中のマイクロ波電極を用いた照射実験を行っていく予定である。
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