(1)肋軟骨三次元表示・模型化システムの開発 超音波診断装置の7.5mHzプローベを、脱気水中で直線走査する事により、肋軟骨の超音波データを採取し、これを一旦S-VHSビデオに録画し、パソコン上でビデオキャプチャーを行い、1mm毎のPICT画像とし、Macintosh IIciのPhotoshop上で肋軟骨部分のROIの抽出を用手的に行う。次にSilicon Graphics IRIS 4D/35TG上の三次元画像ソフトであるVoxEditにより、三次元画像を得る。実態模型は(株)インクスに依頼し、光硬化樹脂にて作成した。またこれらに機器をネットワークで結ぶことにより、データ処理時間の短縮がはかられるようになった。(株)アロカ研究所の三次元表示ソフトウエア"Echoview"についてはROIの自動抽出を試みたが、肋軟骨と周囲組織の境界がやや不明瞭なために、良好な画像は得られなかった。今後はinteractiveに介助するようなuser-interfaceの追加が必要と結論された。 (2)肋軟骨三次元表示・模型化例の実績 三次元表示、模型化を4例に、三次元表示のみを一例に行い、手術前に手術シミュレーションを行い、手術中に実際の肋軟骨と形状を比較したところ、極めて近似していることがわかり、本法は肋軟骨の三次元形状を得るのに適した方法と考えられた。 (3)シミュレーション手術の実際と新しい肋軟骨採取法の開発 肋軟骨採取部位の変形を最小限とするための手術シミュレーションを行った。その結果、我々の用いている三次元フレームワークを作成する際に、ベースプレートにあたる部分を従来よりも小さく採取してもよいことがわかった。従って、従来のように肋軟骨をブロックとして採取するのではなく、くり抜くことで十分であった。これにより主として第8肋軟骨を胸骨・肋骨に連続したまま残すことができ、季肋部の変形を最小限とする事が出来た。12歳、男児で右小耳症の二次再建例で左肋軟骨フレームワークによる再建を行った症例をはじめ、全12例に同様の採取法を適用し、いずれも良好な結果を得た。従来は連続する3本の肋軟骨をブロックで採取していたため、採取部位が平坦になる変形を残すことが多かったが、本術式の開発によりこの問題が解決し得ると考える。
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