研究概要 |
骨格筋虚血再潅流障害においてhypoxanthineがxanthine,uric acidに分解される時、xanthine oxydaseより産生される活性酸素の関与がいわれている。実際に筋組織中のxanthine等のpurineはどのように変化しているか、またそれはxanthine oxydase阻害剤であり再潅流障害抑制効果があるといわれているallopurinol投与によりどのように変化するか、またallopurinolは再潅流障害を抑制しうるかどうかを明らかにするため以下の実験を行った。 雑種成犬の後肢の薄筋を用いた骨格筋虚血再潅流障害モデルを作成した。 薄筋を2本の栄養血管のみを残し遊離,血流を完全にコントロールできるようにし、5時間の完全虚血の後,2時間の再潅流を行った。薄筋より流出する静脈血中のCPKを測定した。また先端に微小な透析膜のついたMicrodialysis probeを筋肉に刺入し、リンゲル液で潅流、筋組織より拡散により各物質を透析液中に回収する。この透析液をHPLCにより分析、組織中のhypoxanthine,xanthine,uric acid,過酸化脂質(MDA),allopurinolを経時的に測定した。 これらの値がallopurinolの投与によりどう変化するか、また投与時期により効果に差はあるかをみた。 (1)allopurinol非投与群 (2)allopurinol 10mg/kg虚血前投与群 (3)allopurinol 10mg/kg,20mg/kg 再潅流前投与群の3群で比較検討した。 その結果以下の点が明らかになった。 1.allopurinol投与により再潅流後の筋組織中のxanthine,uric acidの増加は有意に抑制された。同時に血中CPK、筋組織中のMDAの増加も抑制された。 病理組織学的にも再潅流障害は抑制されていた。 2.allopurinolは従来に実験のような、虚血前に投与するよりも再潅流前に投与したほうが 効果的であった。 3.allopurinol再潅流前投与では10mg/kgと20mg/kgで効果に有意差はなかった。
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