研究概要 |
本研究は,ヒトc-erbB-2癌遺伝子産物のextracellular domainを認識するマウスモノクローナル抗体(mAb)のantigen-binding sequenceをヒトIgG1のvariable-region frameworkに組み込むことにより作製したヒト型mAb(rhu4D5)を用いたヒトc-erbB-2癌遺伝子産物を標的とした癌免疫療法の臨床応用を目指したin vitroおよびin vivoでの基礎検討を行うことを目的としている.本年度は,主としてin vivoでの検討を行った. 1.in vivoでの抗腫瘍活性 SCIDマウスに移植したヒト胃癌株4-1STおよびSt-15を用いて,rhu4D5のin vivoでの抗腫瘍活性を検討した。4-1STは,c-erbB-2蛋白陽性であり,St-15は,陰性である.4-1STあるいはSt-15移植後,腫瘍体積が100〜300mm^3になった時点で,rhu4D5 36mg/kgを1回静脈内投与した.投与後4日目には,4-1STの%治療マウスの腫瘍重量/対照マウスの腫瘍重量(%T/C)は,有意に減少した.一方,c-erbB-2蛋白陰性のSt-15においては,%T/Cは、100%以上であった. SCIDマウスにおけるADCC活性の検討 rhu4D5投与SCIDマウスにおけるADCC活性の検討をするため,4-1ST腫瘍を短期培養し,ADCCのtargetとした.ヒト末梢血リンパ球の細胞障害活性は,rhu4D5により著しく増強された. 以上より,ヒト型化抗c-erbB-2抗体は,ヒトにおいては,SCIDマウスを用いたpreclinical studyから予測される以上の効果が期待され,clinical studyを計画すべきものと考えている。
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