研究課題
1.腹腔内留置シリコンシートの作製シートは、中央部に内径0.25mmの管を持つ厚さ0.25mm、大きさ280X210mmの薄膜で、片面に5〜6枚の前垂れ様シート片を接着、固定した。中央部の細管およびシートには直径1.4mmの小孔が多数存在し、その小孔を通じ、かつ、前垂れ様シート片を伝わって、細管に注入された薬剤が腹腔内に広く拡散することを企てた。薬剤が腹腔内全域に拡散することは、臨床例において、患者からインフォームドコンセントを得た後に、開腹術後2週目に、ウログラフィン1/2X生理食塩液希釈液によるエックス線造影で確認された。2.臨床治験患者からインフォームドコンセントを得た後に、本治験を行った。(1)対象・方法:腹膜播種性転移を認めた胃癌8例、平均年齢67歳、初回治療6例、術後再発2例、1例に胃切除、2例に胃空腸吻合、5例に単開腹を施行し、シートを留置した。中央部細管には薬剤注入用リザーバーを接続し、同リザーバーを腹部皮下に埋没した。抗癌剤(CBDCA 150mg、VP-16 100mg)を、術当日または術後1週目よりリザーバーを介して注入した。1X/週で、連続4週投与を1ク-ルとした。1ク-ル終了後、退院とし、以後、外来投与とした。(2)成績:全例に、腫瘍の消失、腫瘍マーカーの下降、全身状態の改善、腹部腫瘍の一部縮小を認め、7例(77.8%)が退院したことから、本治療はQOLの改善に大きく貢献したと考えられた。
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