研究概要 |
本研究では胆道癌に特徴的な神経周囲浸潤に効果的な特異的局所化学療法を考案し、ヒト胆道癌細胞株を用いてその抗腫瘍効果を検討する。具体的には神経周囲に浸潤した癌細胞が神経細胞接着分子(Neural Cell Adhesion Molecule,NCAM)陽性であることに着目し、抗NCAM抗体にマイトマイシンCやアドリアマイシンなどの制癌剤を結合させて、術中局所投与による特異的局所化学療法を確立しようとするのが本研究の目的である。 抗NCAM抗体-マイトマイシンC複合体を以下の方法で作成した。 ラット抗-Neural Cell Adhesion Molecule(NCAM)モノクロナール抗体(Chemicon International Inc.,Temecula,CA)50μgを50倍モルのBrCNで、pHを11に維持しながら10分間撹拌し、抗体IgGのOH基を活性化した。ついでマイトマイシンC(協和発酵、東京)1mgを加え、pHを7.5に調整して、24時間低温暗室で攪拌し、反応させた。反応物を濃縮し、Double Beam Spectrophotometer(UV-200,Shimadzu)でMMC(363nm)、IgG(280mm)で濃度測定した。IgG1molについMMC3.46molが結合していることを確認した。 in vitroにおける複合体の活性の評価として、複合体の抗体活性は抗原が入手不能であり、NCAM陽性癌組織の免疫化学染色法により定性的に確認できるかどうか検討中である。また複合体のMMC活性は培養細胞株を用い、MMC溶液との比較で検討中である。
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