研究課題/領域番号 |
06671242
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小出 義雄 千葉大学, 医学部, 助手 (80201482)
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研究分担者 |
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
坂本 昭雄 千葉大学, 医学部, 講師 (80162303)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 食道癌 / 上縦隔リンパ節徹底郭清 / 気管粘膜下血流 / 気管支動脈 / レーザードップラー血流計 / 血流温存 |
研究概要 |
上縦隔リンパ節の徹底郭清を伴う食道癌手術では、気管・気管支の血流温存を考慮する必要がある。本研究では上縦隔リンパ節郭清手術において気管支動脈が損傷された際の気管の血流障害を観察するために、侵襲が少なく経時的な観察が可能なレーザードップラー血流計(以下、LDF)を用いて、気管粘膜下血流(以下、TBF)の測定を試みるとともに、成犬を用いて気管支動脈を切断によるTBFの変化を観察した。[対象と方法]気管内挿菅チューブのカフに固定したセンサーを気管膜様部に密着させTBFを測定し、その安定性の評価を手術症例21例で行った。また各気管支動脈を切断によるTBFの変化を成犬3頭で観察した。[結果]LDFによりTBFは安定して測定され、その変化を俊敏に観察しえた。カフの内圧の上昇でTBFは減少し、低下で増加した。LDFは呼吸1回1回の短時間の変化に迅速に反応し、陽圧呼吸による吸気時に減少、呼気時に増加した。急激な血圧の変化にも俊敏に反応し、血圧の上昇で増加、下降で減少した。手術操作では四肢の挙上・駆血、気腹時に増加が、頸部気管右側からの静的な圧迫により減少が観察された。気管支動脈の損傷では、肋間気管支動脈、気管支動脈大動脈分岐枝の切断によりTBFの減少がみられた。一方、両気管支動脈を切断した後には気管固有鞘を切除しても、さらなる低下はみられなかった。[考察]LDFによりTBFは俊敏かつ安定して測定され、また気管支動脈が大動脈と肋間動脈といった中枢に近い動脈より分岐することから、麻酔中の新たなモニターとしての有用性が示唆された。各気管支動脈は気管固有鞘を経て気管へと至ることから、気管支動脈の切断後の気管固有鞘を切除してもTBFは変化しないものと考えられ、上縦隔リンパ節郭清手術に際しては、かねてより解剖学的な見地から報告してきた気管支動脈と気管固有鞘の温存の必要性が、血流の点からも裏付けされた。
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