1.家兎を対象とした実験から、門脈塞栓に持ち得る塞栓物質のスクリーニングを行った。その結果、(1)ゼラチンパウダーの水解物を用いた場合、塞栓後7日目までには塞栓の影響は無くなり、肝全体はほぼ正常な形態を示しており、(2)ゼラチンにethanolamine oleate(EO)を追加すると、1ヶ月後でも門脈を結紮した群とほぼ同等の肝の形態を維持している。以上の成績から、肝切除時の疎血さらには術中の腫瘍の門脈内散布を防止するのにはゼラチン単独によるtemporalyな肝疎血、permanentな塞栓を目的とする場合にはEOの追加で効果的な肝の硬塞が期待できる。 2.臨床例を対象に術中ゼラチンを用いての切除予定区域を疎血状態にして3例の肝切除を行ったが、術中・術後を通して肝機能の推移を含めて特に問題となる合併症もなく経過し、安全に施行出来る事が確認された。 3.来年度予定していたTAEとの併用による門脈塞栓を3例に行い、画像診断上は著明な効果を認めているが、その内2例は切除予定で待機中である。
|