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1995 年度 実績報告書

癒着性イレウスの腹腔鏡下治療に関する臨床的ならびに実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 06671256
研究機関福井医科大学

研究代表者

中川 隆雄  福井医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40075578)

キーワード癒着性イレウス / 腹腔鏡下治療 / 腹腔鏡下癒着剥離 / 改良型腸管把持鉗子 / 針状腹腔鏡 / 標準型腹腔鏡 / 急性腹症 / 小開腹
研究概要

本研究の目的は、癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術の手技を確立することにある。手技上の問題点として、(1)腸管把持鉗子による腸管の圧挫裂創、(2)癒着剥離中の腸管損傷、の各合併がある。問題点の(1)を解決するために、従来の腸管把持鉗子に独自に改良を加え、腸管把持力を調整する手元のハンドル圧を一定圧以上に上がらないよう工夫した腸管把持鉗子を考案した。これによって腸管壁の圧挫や過牽引を防止することが可能になった。問題点の(2)の解決は、腹腔鏡下癒着剥離術の手技を確立するうえで最も重要であり、臨床成績からその解決方法を検討した。これまでに、癒着性イレウス17例に腹腔鏡下癒着剥離術を試みた。このうち、腸管把持鉗子を用いることなく、腹腔鏡で観察しながら電気メスまたはハサミで癒着剥離手技を完了できた症例は6例である。一方、腸管把持鉗子で腸管を牽引しながら電気メスまたはハサミで癒着剥離を試みた11例中、5例(45.5%)に剥離操作中に腸管穿孔を起こした。穿孔例は、いずれも剥離完了後、小開腹による穿孔部修復術を要した。術後の経過は17例全例とも良好で、これまでにイレウス再発はない。以上の臨床成績から、癒着剥離操作中に腸管穿孔を起こす原因は、腸管把持鉗子の使用にある可能性が高く、腸管穿孔は数cmの小開腹で対処することにより、良好な手術成績が得られる、との結論を得た。従って、牽引腸管に対する電気メスやハサミによる影響を実験で測定することは、腹腔鏡下癒着剥離術の手技を確立するために意義が少ないと判断し、実験計画を中止した。また、オリンパス社が現在開発中の外径3mmの針状腹腔鏡を癒着剥離術に使用した経験から、針状腹腔鏡を用いた腹腔鏡下癒着剥離術は、標準型腹腔鏡を用いた場合より手技が極めて容易で低浸襲であり、安全性の向上に有用と考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 伊藤敏孝: "腹腔鏡補助虫垂切除の3例" Endoscopic Forum. 11. 107-110 (1995)

  • [文献書誌] 中川隆雄: "ビデオ腹腔鏡下手術器具" 救急医学. 19. 1207-1210 (1995)

  • [文献書誌] 中川隆雄: "外傷性腹部実質臓器損傷:腹腔鏡検査の応用" 消化器外科. 18. 1799-1806 (1995)

  • [文献書誌] 中川隆雄: "腹部外傷の腹腔鏡手術" 救急医学. 19. 2031-2034 (1995)

  • [文献書誌] 西浦輝浩: "イレウスの腹腔鏡手術" 救急医学. 19. 2035-2038 (1995)

  • [文献書誌] 伊藤敏孝: "腹腔鏡診断(局所麻酔下)の適応と手技" 救急医学. 19. 2004-2008 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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