研究概要 |
平成6年度の研究結果の概要を挙げますと、 1.CDDP含有マイクロスフェア-(CDDP-MS)の作成 CDDPをゼラチン水溶液に溶解させた後、さらにポリ乳酸グリコールで被服させCDDP-MSを作成した。恒温槽でのCDDP-MSの徐放性は24時間で40-60%、14日目で90%溶出し良好な結果を得た。 2.家兎食道癌モデルの作成 白色家兎の食道粘膜下へVX2腫瘍細胞を移植し、2週間後に食道を抜去することで遺残転移リンパ節を伴った食道癌切除後モデルを作成できた。さらに、経腸栄養液100Cal/日を2回に分けて胃に留置したチューブより注入し2週間以上の生存が可能であった。 3.家兎の血中および各臓器の組織移行 本モデルに対して3通りの方法でCDDPを投与した。CDDP-MSを縦隔内へ投与する群(第一群)、freeのCDDPを縦隔内へ投与する群(第二群)、freeのCDDPを静脈内投与する群(第三群)。投与後4日間の血中濃度の推移とリンパ節、腎臓等の各組織内濃度を測定し、その結果は血中Pt濃度(μg/ml)の推移は第一群2.71(1日目),3.70(2日目),3.81(3日目),3.94(4日目),第二群5.16,5.29,4.80,4.89,第三群6.39,3.95,3.95,2.26と第一群では低濃度で推移していた。また、リンパ節Pt濃度/腎臓Pt濃度は第一群3.50±2.18,第二群0.78±0.61(p<0.01),第三群0.29±0.01(p<0,005)と有意に高値であった事よりリンパ節にCDDPは高濃度に移行し、また副作用が軽減されると考えられた。 以上ですが、今後、病理学的に遺残転移リンパ節の抗腫瘍効果を検討する予定です。
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