研究課題/領域番号 |
06671274
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱辺 豊 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (30218549)
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研究分担者 |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
生田 肇 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
齋藤 洋一 神戸大学, 医学部・, 教授 (90004803)
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キーワード | 食道癌 / CDDP / マイクロスフェア- / 家兎VX2腫瘍 |
研究概要 |
家兎VX2食道腫瘍で食道切除後の転移リンパ節の遺残するモデルを作成し、CDDPを用いた三種類の投与法として、第一群:CDDPを含有するマイクロスフェア(CDDP-MS)を縦隔内へ投与する群、第二群:freeのCDDPを縦隔内へ投与する群・第三群:freeのCDDPを静脈内投与する群の各群にて化学療法を施行し、CDDPの組織移行、転移リンパ節に対する抗腫瘍効果および腫瘍細胞の増殖抑制効果に関して得られた結果を報告する。 1.CDDPの各臓器の組織移行について:縦隔内転移リンパ節の組織内Pt濃度は一群2.68μg/g、二群1.29μg/g、三群0.58μg/gで、腎臓の組織内Pt濃度ではそれぞれ0.81μg/g、2.32μg/g、1.97μg/gとCDDP-MS投与群では転移リンパ節には高濃度に(p<0.05)、また血中Pt濃度が低値であったことより腎臓では低濃度であった(p<0.05)。 2.抗腫瘍効果の判定:転移リンパ節のHE染色による食道癌取扱規約の制癌剤の治療効果の組織学的判定基準に従ってGrade1b以上を有効と判断したところ、一群10羽中4羽(40%)、二群6羽中2羽(33.3%)、三群8羽中0羽(0%)と一群と二群で抗腫瘍効果がみられたが、三群の静脈投与群では効果は得られなかった。 3.腫瘍細胞の増殖抑制効果について:thymidineのanalogueであるBrdUがS期の腫瘍細胞へ取り込まれる割合Labeling Indexでは一群8.2%、二群11.2%、三群20.9%である、一群と二群では三群に比して腫瘍細胞の増殖は有意に抑制されていた(p<0.05)。 以上より.CDDP-MSの縦隔内投与群ではfreeのCDDPの縦隔内および静脈投与に比して有意差はないが優れた抗腫瘍効果および腫瘍細胞の増殖抑制効果が得られ、一方、副作用に影響する血中濃度および腎臓への移行は有意な低濃度を示した。
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