研究課題/領域番号 |
06671274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱辺 豊 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (30218549)
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研究分担者 |
斎藤 洋一 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (90004803)
筏 義人 京都大学生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
生田 肇 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 食道癌 / 局所化学療法 / マイクロスフェア- / リンパ指向性 / CDDP / VX2腫瘍 |
研究概要 |
消化器癌の化学療法において、抗癌剤の副作用を軽減させ目的とする転移リンパ節への薬剤到達性を向上させる治療法として、私共は抗癌剤含有マイクロスフェア-を用い、その特性を生かした投与方法を考案した。本研究では治療が特に困難な食道癌術後の縦隔内の遺残転移リンパ節への効果的な治療の確立を目指した。まず平成6年度には基礎実験として家兎VX2食道癌で食道切除後の遺残転移リンパ節を伴うモデルを用い、CDDP-MS縦隔投与群はfreeCDDP縦隔投与群およびfreeCDDP静脈注入群に比較してリンパ節組織Pt濃度は約2〜4倍の高値を、一方腎臓等の臓器では約1/4の低値を示し、転移リンパ節への良好な移行が示された。ついで平成7年度には本療法における転移リンパ節の抗腫瘍効果を食道癌取扱規約の組織学的判定基準に従い判定した結果、約50%と良好な効果が得られ、またLabeling Indexでも腫瘍細胞の増殖は有意に抑制されてたことを実証した。最終の平成8年度では本モデルで薬剤注入後14日目の転移リンパ節組織内Pt濃度でも0.81μg/gと他の2群の約2倍の高濃度で長期間にわたり作用していることを示し、良好な転移抑制効果も期待される。臨床応用として胸部食道癌切除例において右開胸腹胸部食道摘出した際に後縦隔内の気管分岐部周囲にカテーテルを留置し、術後約2週間目にCDDP-MSを注入した(計5症例)。血中Pt濃度は投与直後より14日目までほぼ同様の低値で推移し、副作用を呈さずCDDP-MSの良好な徐放性を示した。臨床効果を判定するには症例の蓄積と今後の経過観察が必要であるが、手技が非常に簡便であり抗癌剤を高濃度で長期間作用できることより本療法の有用性が期待される。以上、本研究課題の推進を通じて本療法が消化器癌に対する新しい治療法になり得る可能性を証明できたと考える。
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