• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

小腸蠕動運動のNOおよびその関連物質による調節

研究課題

研究課題/領域番号 06671279
研究機関岡山県立大学短期大学部

研究代表者

水谷 雅年  岡山県立大学短期大学部, 健康福祉学科, 助教授 (30108170)

キーワード消化管運動 / 蠕動運動 / 蠕動反射 / 一酸化窒素(NO) / 壁内神経系 / NANC神経 / セロトニン / 5-HT_3受容体
研究概要

腸の蠕動反射機構を明らかにする目的で実験を行った。ウレタンとクロラロースで麻酔したイヌの生体内空腸を用いた。外反射の影響を除去するため外来神経は切断された。長さ約10cmの空腸を切断分離し,その分離腸管の口側部と肛門側部の運動をそれぞれの腸内腔に入れたバルーンによって記録した。分離腸管の血流を口側部と肛門側部に分け,各部位に分布する動脈の分枝よりカニューレを介して,薬物を各部位に別々に投与した。粘膜を擦過する実験では口側あるいは肛門側部を縦切開してその粘膜面を露出して行った。
アセチルコリンを肛門側に投与すると,投与部位の収縮と同時に,口側部に上行性収縮が誘発された。この上行性収縮はセロトニン受容体のサブタイプである5-HT_3受容体遮断薬の肛門側処理で抑制されたが,5-HT_4遮断薬では影響を受けなかった。肛門側部の収縮をニフェジピンによって抑えておくと,上行性収縮は消失した。したがって,アセチルコリンによる上行性収縮は投与部位の収縮によって誘起され,5-HT_3受容体を介して起こると考えられる。一方,粘膜の擦過による上行性収縮は5-HT_3受容体を介して起こると考えられる。一方,粘膜の擦過による上行性収縮は5-HT_3受容体を介して起こる(Neya et al., 1993)。
上述の両上行性収縮反応は,NO合成阻害剤(L-NNA)の肛門側あるいは口側部の処理によって増強した。この増強効果はL-arginineによって阻害されたが,D-arginineによって阻害されなかった。粘膜の機械的刺激による下行性弛緩反応は肛門側部のL-NNA処理によって抑えられた。自発性収縮に対しては無効果であった。これらの結果から,NOは蠕動反射を誘発する刺激によって壁内ニューロンから放出され,下行性弛緩反応を誘発する反射経路の最終ニューロンであるNANC神経の伝達物質として働いていること,上行性収縮反応を誘発する反射経路のコリン性伝達を部分的に抑制して上行性収縮反応の大きさを調節していることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Lu, Y. -F.: "Indomethacin-induced lesion modifies contractile activity in rat small intestines." Scandinavian Journal of Gastroenterology. 30. 445-450 (1995)

  • [文献書誌] 水谷雅年: "蠕動反射とセロトニン" Journal of Smooth Muscle Research. 31. 229-230 (1995)

  • [文献書誌] 岡田康志: "イヌ生体内空腸ループにおけるアセチルコリン投与による局所収縮が引き起こす上行性収縮" Journal of Smooth Muscle Research. 31. 298-299 (1995)

  • [文献書誌] 山里晃弘: "Oddi括約筋と十二指腸の空腹期収縮の関係" Journal of Smooth Muscle Research. 31. (1995)

  • [文献書誌] Neya, T.: "Substance Preceptors play a role on neuro-neuronal transmission in ascending excitatory pathway of the peristaltic reflex evoked by mucosal electrical stimulation in the canine jejunum." Journal of Kibi lntemational University. School of Health Science. 1. 1-8 (1996)

  • [文献書誌] 祢屋俊明: "粘膜内反射に介在する5-HT3受容体の所在.In:消化管ホルモン(XIV)" 消化管ホルモン研究会編 医学図書出版, 43-46 (1995)

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi