研究概要 |
UCTH-1MoAbとMuse-11MoAbによる複特異抗体の作成と細胞障害の検討(in vitro) 【目的】一方の活性基にT細胞と選択的に結合し細胞障害性を活性化する抗体、もう一方の活性基には腫瘍関連抗原と特異的に結合する抗体を有する複特異性抗体(bifunctional antibody,BFA)を作成し、それによる細胞障害活性を検討した。 【方法】T細胞のCD3に対するUCTH-1MoAb(anti-CD3)と、消化器癌に広く発現する糖鎖抗原MUC-1に対するMuse-11MoAbを用いた.UCTH-1MoAbとMuse-11 MoAbの2種のF(ab′)2フラグメントを還元してFab′とした後、S-S置換反応により再結合し、BFAを作成した。エフェクター細胞にE/T比を20に設定した末梢血リンパ球(PBL)を用いた。細胞障害活性は51Cr releaseにより測定した。【成績】Musu-11およびBFAとの親和性は、6種の人消化器癌 Colo225,Colo226,KATOIII,MKN,PK1,PK9にて検討した結果、KATOIII,MKN,PK1,PK9いずれにも親和性をみとめ,特にPK9が高く、標的細胞として使用した。特異的細胞障害活性はBFA濃度依存性に増大した(BFA0.2,2,20,200μg/mlに対し各々6.6、11.5、9.5,12.4%)反応時間を4時間から8時間に延ばすと、細胞障害活性(BFA濃度200μg/ml)は1.9倍(22.5%)となった。PK9に対して細胞障害活性を示さない程度にIL-2で刺激したPBLを用いBFAの効果を検討すると、同様に濃度依存性に障害活性は増大し、BFA20μg/ml濃度において(4時間の反応時間)38%と著しい上昇を認めた。【結論】BFA感作リンパ球が消化器癌治療に応用できる可能性を認めた。
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