研究概要 |
1.CH3/HeSIC系雄性マウス(5週齢)の左後肢足背皮下に腹水肝癌MH134の細胞浮遊液(5*10^5cells/mouse)を移植し,同側の膝窩リンパ節および腰部リンパ節の転移モデルを作製した。転移が成立したマウスの膝窩リンパ節内に,リンパ指向性の高い微粒子活性炭CH40とマイトマイシンCおよびピシバニール(OK-432)を混和した溶液を同側の膝窩リンパ節に注入し(1)MMC-CH-OK群とした。同様に,(2)MMC+OK群,(3)OK+CH群,(4)MMC+CH群,(5)非治療群の合計5群の治療群を設けた。そして,注入6日後に犠牲死せしめ腰部リンパ節の重量を測定したところMMC-CH-OK投与群は,MMC-CHなど他の治療群と比べて有意にリンパ節重量が軽く有効と判定され,組織学的検索でもMMC-CH-OK投与群は著明な効果を認めた。 2.つぎに,同じ実験系で各種の治療を行った6日後に,大動脈周囲リンパ節を摘出し,これを別のBDF1マウスの腹腔内に移植して,各治療群の生存率を比較した。治療群は(1)MMC-CH-OK群(n=16),(2)MMC+OK群(n=14),(3)OK+CH群(n=16),(4)MMC+CH群(n=15),(5)非治療群(n=10)とした。移植後90日までの観察で,MMC-CH-OK群は最も高い生存率を示し,OK+CH群,MMC+CH群,非治療群のいずれと比べても有意差を認めた。 3.切除を行った1602例の胃癌症例のデータをパーソナルコンピューターを用いて多変量解析を行い,深達度が粘膜下層から固有筋層で、根治可能例が本療法の適応であるとの結論を得た。
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