1.胆汁酸負荷試験の方法とそのパラメーターの確立 胆汁酸負荷試験の総胆汁酸の濃度下面積(T-AUC)はICG排泄試験の15分停滞率とr=0.83の強い相関(p<0.01)を認めたが、動脈血中ケトン体比とはr=-0.41、ヘパプラスチンテストとはr=-0.39、コリンエステラーゼとはr=-0.52といずれも相関を認めなかった。 2.CT画像より肝臓体積の推定 CT画像をコンピューターに入力し肝臓の面積を測定して、肝臓の体積を推定する新しい画像処理ソフトを開発した。これを利用し肝疾患12例を対象として、術前のCT画像から推定肝体積を求め、予定術式からCT画像における予定切除線を設定し、推定切除肝体積と切除率を求めた。画像処理ソフトの有用性を検討するために、術後の切除肝重量と推定切除肝体積を比較した。両者の間にr=0.917の強い相関(p<0.01)を認め、画像処理ソフトの有用性が証明できた。12例中外側区域切除を施行した8例の切除率は平均21.2±6.6%であった。 3.閉塞性黄疸症例の検討 肝硬変を認めない閉塞性黄疸例で、ICG排泄試験の15分停滞率は肝硬変合併例と同様に高値を示したが、胆汁酸負荷試験のT-AUCは黄疸例と肝硬変合併例を区別可能であった。 肝切除例の検討 肝切除39例について切除範囲別に術前のT-AUCを検討すると、T・AUCが40μmol・h/11以下である時には、肝2区域切除は施行できた。T・AUCが40μmol・h/1以上の症例は肝硬変を合併していた。
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