研究課題/領域番号 |
06671304
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
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研究分担者 |
古田 一徳 北里大学, 医学部, 研究員 (40209177)
泉家 久直 北里大学, 医学部, 研究員 (30193379)
塚本 秀人 北里大学, 医学部, 講師 (60146420)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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キーワード | 肝膵同時切除 / 肝膵臓器相関 / 手術侵襲 / 耐術能 / サイトカイン / 術後肝不全 / 膵ホルモン |
研究概要 |
本研究では、肝膵臓同時切除術の耐術能の予測、安全手術限界について、1)肝膵同時切除における病態の特徴、2)膵ホルモンの肝再生への関与などの臓器相関、の2つの観点から検討した。研究の主体は実験的検討であるが、最終的には臨床例において切除限界を事前に予測し得る指標を確立することを目的としており、平成7年度は実験のほか、肝、膵手術の臨床例の耐術率の検討や術中血行動態の変化などの成績の分析を行い、一部は臨床例の予後予測、治療効果の指標に応用した。 実験群はイヌ18頭を用い、肝切除単独群とそれに膵切除を加えた群について比較検討した。肝切除単独では全く死亡はなかったが、追加した膵切除量が増加するにつれて死亡例が増加した。 肝膵同時切除後の肝不全への移行を知るデータとして、前年度までに術後早期の血小板減少や、PT・HPの延長と回復遅延が参考となることが判明したが、今年度は侵襲の指標としてサイトカイン(IL-6)の意義について、その推移を検討した。その結果、手術後早期のIL-6の値と手術の切除量の大きさには相関関係は見いだせなかったが、肝不全で死亡した例ではその直前でIL-6の上昇がみられ、肝不全などの術後合併症発生の予測にIL-6が役立つ可能性が示唆された。 そこで、臨床的に肝切除を行った症例について、術後のIL-6の推移を検討した。術直後のIL-6は術前の肝機能や肝切除量と相関となかった。しかし、術後の経過をみると、術後肝不全で死亡した例では肝予備能だけでなはなく、手術時間や出血量などの術中の経過も予後に影響することがわかっており、有意差はないものの手術が長かったものや出血量の多い症例にIL-6が高い傾向があった。また、術後肝不全症例では実験と同様に、合併症発生直前にIL-6が上昇しており、これらの指標をこの手術の侵襲の評価、予後の予測にいかに反映させるか模索中である。
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