研究課題/領域番号 |
06671308
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高田 忠敬 帝京大学, 医学部, 教授 (80075340)
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研究分担者 |
長谷川 浩 帝京大学, 医学部, 講師 (30156319)
内山 勝弘 帝京大学, 医学部, 講師 (40147088)
安田 秀喜 帝京大学, 医学部, 助教授 (20101850)
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キーワード | 膵癌 / 胆道癌 / 肝膵同時切除 / 肝不全 / 門脈部分動脈化 / 術前門脈塞栓術 / 門脈血流 |
研究概要 |
犬を用いた術前門脈塞栓術兼健側門動脈化モデル作成実験の目的は、進行膵胆道癌に対する肝切除兼膵頭十二指腸切除の術後の肝不全を予防し、安全性の向上を図ることである。特に肝動脈合併切除時には、肝組織の阻血が肝不全発生の大きな要因になる。術前門脈動脈化モデルはあらかじめ門脈の動脈化を図り、肝組織血流の増大と酸素供給量の確保を目指すものである。本年度は肝血流阻血時における門脈血流、肝組織血流の変動の解明を行ったものである。実験方法は犬の肝動脈を結紮切離し、肝動脈阻血モデルを作成した。その後、肝動脈と胃十二指腸静脈を吻合し門脈の動脈化モデルとした。(日)電磁血流計にて測定した門脈本管での血流は、sham手術群では91.5±5.3ml/min/100g肝重量であったが、肝動脈遮断直後には95.4±8.7ml/min/100g肝重量、1時間後には89.6±7.4ml/min/100g肝重量に変化した。肝動脈とのシャント作成後は128.5±12.4ml/min/100g肝重量と血流量の増加をみた。なお血流計を腹部大動脈にも装着し、全身の血流動態を一定に保つように輸液を調節した。(月)門脈血中酸素分圧はsham群では45.6±2.3mmHgで、肝動脈遮断直後、1時間後はそれぞれ46.3±2.8mmHg、44.8±3.5mmHgで、肝動脈とのシャント後は51.5±2.4mmHgに上昇した。(火)門脈内圧はsyam群6.2±0.6mmHg、肝動脈遮断直後、1時間後はそれぞれ6.3±1.5mmHg、5.7±2.6mmHgで、肝動脈シャント後も6.4±2.6mmHgで変化は軽微であった。(水)肝組織血流量はsham群26.0±3.9ml/min/100g肝重量で、肝動脈遮断直後,1時間後は12.8±3.2ml/mil/100g肝重量、12.2±2.2ml/min/100g肝重量と低下し、肝動脈シャント後は23.2±4.2ml/min/100g肝重量と回復した。術前の門脈動脈化モデルは肝動脈の血行遮断に対して、肝組織血流ならびに酸素供給を保持しうるものである。次年度においては、部分門脈塞栓モデルでの肝葉別の門脈血流動態を解明し、肝膵同時切除に対する有効性を明らかにする。
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