研究課題/領域番号 |
06671311
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三富 利夫 東海大学, 医学部・外科学, 教授 (20055809)
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研究分担者 |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部・病理学, 教授 (00055865)
中崎 久雄 東海大学, 医学部・外科学, 助教授 (10056145)
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キーワード | 制癌剤 / 抗制癌剤抗体 / 副作用 / 薬効作用 |
研究概要 |
研究の背景 化学療法における薬剤耐性は薬理学的には膜耐性と酵素耐性に分類される。これらの耐性現象の解明と治療目的の薬剤開発研究がなされているが、未だ満足すべきものはない。有効な薬剤であるが故に頻用されるが耐性出現によって多剤併用のやむなきに至り多くの副作用との戦いが必要となってくる。制癌剤と非制癌剤の併用投与による耐性の克服の目的が研究されている。耐性化してしまった癌との戦いよりは制癌剤が耐性を獲得変化する前に耐性の阻止もしくは遅延が行えればより効果的な治療法としての有効性が期待できる。この研究はこのような観点から出発した。 研究経過と研究成果 この研究では非制癌剤として制癌剤の抗体を用いる。ADM(アドリアマイシン)を用いて家兎に免疫し抗体を作製することができた。この抗制癌剤抗体を用いれば投与制癌剤の活性効果を意図的に不活性化し、より有効な投与方法が期待でき、動物実験で明らかに制癌剤効果の増強が認められた。また不活性化が計画的に行うことができ副作用の軽減化が可能であった。ADMの最も大きな副作用点は心毒性であるが抗アドリアマイシン抗体の併用投与により心毒性は軽減され、より大量のADM投与が可能であった。 (1)ADMを用いて抗体を作製。 作製された抗ADM抗体はポリクローナル抗体で分子量150,000のIgGでありADMとは特異的に反応する。 (2)細胞膜やCo-Q10はADMと同様のユビキノン環をもつが抗ADMはこれらとの交差性はなくADMとのみ特異的に反応する。 (3)抗ADM抗体を用いて癌組織内でのADMの局在を免疫組織学的方法で観察。 (4)癌組織の細胞膜での糖鎖抗原の変化と局在に関する研究。 (5)ADMの薬理効果が抗ADM抗体によって不活性化されることの研究発表。 (6)抗ADM抗体のラットへの反復投与。移植腫瘍の治療で抗体使用の有用性の確認。
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