研究概要 |
[研究目的] 本研究の目的は,食道組織中に男性ホルモン受容体蛋白が存在すること,および男性ホルモン受容体蛋白阻害剤が実験食道癌にたいして発癌抑制効果,治療効果,発癌予防効果が認められることを明らかにし,食道癌治療におけるホルモン療法を確立する点にある. [研究実績] CasodexのAMN誘発雄性ラット食道癌におよぼす効果を検討した.AMN10週投与時の発癌率は非去勢ラットで50.0%(n=10),去勢ラットで50.0%(n=16)と差がなかった.AMN10週投与後10週経過時の発癌率は非去勢ラットで75.0%(n=12),去勢ラットで64.0%(n=14)であり,AMN10週投与後Casodex10週投与時の発癌率は非去勢ラットで75.0%(n=4),去勢ラットで80.0%(n=5)であった. Casodexを投与したラットの発癌率がCasodexを投与していないラットの発癌率と差がみられなかった. [今後の研究に関する展開] 従来の研究から,抗アンドロゲン剤の一つであるFlutamideに実験食道癌にたいする発癌抑制効果が認められることが明らかとなっている.今回行った実験系から化学発癌に対するCasodexの発癌抑制効果が明らかとならなかった.今後はCasodexのdoseを増やしさらに検討を行うことを計画している.食道癌の新しい治療法を考える上において,抗男性ホルモン剤を用いた治療実験を進めることは今後の重要な研究課題であり,意義あるものと考える.
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