研究概要 |
急性膵炎における重症化因子としての活性酵素およびアラキドン酸カスケードの関与を明らかにした。自家胆汁を膵管に注入した膵炎モデルにて、thromboxare阻害剤を用いmalondialdehyde(MDA、scperoxde Hismutase(SOD)などを測定した。その結果、アラキドン酸カスケードからも活性酵素が発生し、種々の代謝産物と相まって膵局所の虚血、循環血竜阻害が惹起される考えられTAまた膵炎作成直後に腹腔動脈よりSOD10,000単位/kgを投与しxanthnokidase(XOD活性、MDAおよび活性酸素消去系としてSODを測定し効果を検討した。その結果、膵組織中活性酸素関連物質の上昇を認め、SOD投与によりこれら物質の発生が抑制され、生存率も良好であった事より、SODはこのモデルでは有効な治療として期待できる可能性がある。剖検をみると、膵全体の壊死と腹水の貯溜が全例にみられ、非投与群では腸管壊死、膿瘍形成例もあり、時間の経過と共に感染が重症化に大きく関与しているものと思われた。薬剤注入経路としてはさきの検討より抹消経路ではなく直接膵組織に到達せしめる方法として経動脈投与を用いた。急性膵炎時の膵支配動脈を観察すると、壊死と考えられる部分にも動脈血流は明らかに存在し、薬剤の動脈内投与が抹消からの投与よりも膵組織に高い濃度で到達し、その薬効を発揮できるものと推測された。ヒト急性膵炎への本薬剤の利用は濃度、投与量、SODの修飾などの問題点を有し、現段階では使用できない。しかし、動脈内投与方法、特に蛋白分解酵素阻害剤の持続動脈内投与は膵そのものの炎症を早期に沈静化せしめる方法として、急性膵炎の新たな治療法を示唆するものである。重症急性膵炎の生存率向上にむけての今後の臨床応用に十分期待できる。
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