研究概要 |
脳外科領域では破裂性動脈瘤において脳血管攣縮が発生することが知られている。今回、腹腔内出血がはたして腹腔内血管を攣縮させるか否かについて検討した。 1)Wistar系雄性ラット腹腔内に同種新鮮血を3,5ml投与した後、その6、12、24時間後の血管径の変化について検討した。 2)投与12時間までは血管径に変化を認めなかったが、24時間後において上腸間膜動脈および下腸間膜動脈末梢において強い血管攣縮を認めた。しかし、中枢側においてはそのような変化を認めなかった。 3)その変化は投与血液量を増加せしめた群においてより高度となった。 4)すべての血球を超音波にて破砕した血液を投与したところ、その変化は12時間後より認め、その変化はより高度となった。 5)その変化は投与血液量との関係を認めなかった。 6)上記と同じ実験系において、刺激物質としてendotoxin 0.5mg/mlを腹腔内投与して血管径について検討した。 7)刺激物質投与により、血管径はより攣縮した。しかも、新鮮血、破砕血液いずれにおいても大きな差異を認めなくなった。 結論 腹腔内血液はくも膜下出血の際と同様に、腹腔内血管を攣縮させる。その攣縮は末梢側でより強く発生し、血液がより異物と認識される破砕血液の方がより強く発生した。以上の結果は腹腔内マクロファージが大いに関係あるものと推察された。
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