研究概要 |
敗血症におけるミトコンドリア障害がX-XOによる酸化ストレスと同様にL-carnitine投与にて抑制できるか否かについて、ラットを12時間絶食の後に、ラット腹腔内にLPS5,10mgと生理食塩水1mlを投与し、検討群にはLPSと同時にL-carnitine 500mg/1mlを投与した。その12時間、24時間後にラットを屠殺し、脂質代謝の面より検討した。 脂質代謝に重要な役割をなすCPT1はX-XOによる酸化ストレスにてVmaxが有意に低下し、palmitoyl CoAに対するMichaelis係数(Km)も同様な動態を示した。これらの低下はcarnitine添加により有意に抑制された。LPS投与にても同様にCPT 1活性の低下が認められ、carnitineによる抑制を認めた。longchain acy CoA及びcarnitineの動態を測定したところ、酸化ストレス及びLPS投与によるfree radicalによりlongchain acy CoA,longchain acycarnitineの増加とfree carnitineの低下を認めた。すなわち酸化ストレスおよびLPSはCPT1活性を抑制するとともに、free carnitineの低下によるミトコンドリア内でのlongchain acy1 CoAが蓄積、それに伴う脂質代謝の抑制を介するエネルギー不足による間接的、あるいは脂肪酸自体による直接的な影響によりミトコンドリア障害がもたらされると解された .以上の結果より、X-XO及びLPSによる酸化ストレスはミトコンドリア酸素消費量の減少、ミトコンドリア膜膨化、mitochondrial permeability transition,matrixよりのNAD^+,NADH及びCa^<2+>の流出を惹起して、ミトコンドリア障害を発生せしめ、carnitineは脂質代謝の改善を介してmitochondrial permeability transition,ミトコンドリア膜の膨化を抑制することにより酸化ストレスによるミトコンドリア障害を防止すると考えられた。
|