研究概要 |
〈目的〉 ラット左室workingモデルを用い、心移植後の急性拒絶反応及びその回復過程での心筋ベータ受容体の量や局在の変化をautoradiographyを用いて検討する。 〈方法〉 雄のFisherおよびLewis ratを用い、working modelによるF-Lモデル、F-L (+CsA (10mg/kg))モデルを作成した。 F-L : 7d, 14d、F-L(+CsA) : 7d, 14d、21d, 1m, 2mの時点で、グラフトを採取後、18μmの凍結切片を作製し、1nMの3H-CGP12177とともにincubationした。乾燥後、標本をのせたカバーガラスをimaging plateに5日間contactさせ、画像化し、左室と右室を含む横断面を心尖部、中央、心基部に分けて、各部位で解析し、また病理標本と対比し検討した。病理標本の拒絶反応の程度はBillinghamの分類に基づいて検討した。 〈結果〉 全経過を通してRecipient心は部位別の変化に乏しく、ベータ受容体の量にも大きな変化がなかったが、Donor心は拒絶反応の影響が大きく、拒絶が高度になるにつれて、ベータ受容体の量のバラツキが著明となり、量の減少が見られた。また、部位別では、いずれの時期でも、ベータ受容体の量は、左室内壁で多く、次に左室外壁、心室中隔、右室内壁、右室外壁の順であった。これらのことから、ベース受容体の量、局在の変化は、拒絶反応を反映し、部位別の差異は、このモデルの特異性を示していると考えられた。
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