研究概要 |
1 動脈拡張性病変の早期診断を可能にすることで、動脈瘤危険因子を低下、除去し、動脈瘤発症の予防を可能とする、あるいは、動脈硬化巣を退縮させることを目的として、動脈拡張性病変で早期に血管内皮細胞が起こす、オートクリン、パラクリンを分子病理学的、定量的に促えるために、次の研究を計画した。 2 in Vitroでヒト動脈内皮細胞にshear stress下にIL-1,IL6,TGF,IGF,TNFを投与し、内皮細胞が発現するpeptideを抗体標識し、内皮細胞のcytoskeletonの変化を観察した。 3 ヒト血管内皮細胞の培養系において、ある一定値以上のshear stressによって、cytoskeletonの量的変化、配列の変化が起こることが分かった。cytoskeletonを定量化する試みをしている。また、免疫染色をすれば発現する遺伝子の確認ができる可能性がある。 4 各種cytokineに対する内皮細胞の応答は、今回の実験では一定の関係を見い出せなかった。これは、細胞の分化、増殖の程度が培養環境によって変化するためと考えられる。 5 培養系のshear stress、壁圧、灌流培地のviscosity、oxigenationなどを、より生理的な条件に近づけるために、実験モデルを再検討しなければならないと考えられている。今回得られたデータが持つ意味を、モデルの再検討を通して確認中である。
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