研究概要 |
p53遺伝子のアポトーシス誘導能の臨床像への反映を評価するため臨床検体をもちいてp53遺伝子の解析を行った。非小細胞癌46例につきPCR-SSCP法にてp53遺伝子の変異の検出を試みた。9例に遺伝子変異を検出し,うち5例は術後に化学療法を受けている症例であったが,p53遺伝子変異を持たない症例と生存率とのあいだに有意差を認めなかった。(95年日本癌学会にて報告) また原発腫瘍と転移リンパ節それぞれから得られたDNAについてp53遺伝子変異を検討したが両者に明らかな差を認めずp53の変異と悪性度,転移に明らかな相関は得られなかった。(95年日本肺癌学会にて報告) 今回得られたデータではp53遺伝子変異によるアポトーシス誘導能の低下を反映した臨床像,すなはち抗癌剤および放射線治療における効果の減少,生存率の低下という結果は得られなかった。 小細胞癌の臨床検体を用いた研究については症例数の集積が十分で無く現在集積中である。 培養細胞をもちいた基礎的実験に関してはp53遺伝子を有さないcell lineとしてH-358,K-562の二つを入手し、これらのcell lineに関するmyc遺伝子の発現の検討を行っているが、併行してエレクトロポレーションをもちいた遺伝子導入による実験が進行中である。
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