研究概要 |
内皮細胞系“F・2"はヌードマウスから確立された培養細胞系で、同一の特性をもっており、再現性の高い実験結果が得られる利点がある。 (1)細胞の冷保存効果のtrypan blue exclusion法による評価 内皮細胞を大気下、4℃で24時間から48時間冷保存しtrypan blue溶液を加え細胞数を計測した。全細胞数に対する生細胞数の割合を細胞の生存活性(%)とした。24時間冷保存後のET-Kyoto液群、IT-Kyoto液群、ユーロコリンズ液群、UW液群の生存活性はそれぞれ56.2±1.9%(平均値±標準誤差),73.7±2.3%,39.9±4.9%,62.8±2.3%で、48時間冷保存後の生存活性は同様にそれぞれ49.5±4.7%,59.5±0.7%,29.2±2.5%,55.3±7.6%であった。ET-Kyoto液、IT-Kyoto液,UW液群が、ユーロコリンズ液群より細胞の生存活性が有意に高かった。 (2)細胞の冷保存効果のMTT assay法による評価 内皮細胞を大気下、4℃で24時間から168時間冷保存し、MTT溶液に入れ替え、37℃で4時間培養した。48時間以降ET-Kyoto液群,UW液群がユーロコリンズ液群より有意に吸光度が高く、72時間以降ET-Kyoto液群がIT・Kyoto液群より有意に吸光度が高く、120時間以降ET・Kyoto液群がUW液群より有意に吸光度が高かった。 (3)まとめ 我々はヌードマウス由来の培養内皮細胞系を用いて、細胞の冷保存効果において、ET-Kyoto液がUW液よりすぐれていること、IT・Kyoto液はUW液と同等の効果をもちユーロコリンズ液よりすぐれた効果をもつことを示した。
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