1994年度科学研究費 実績報告 当初計画の研究資材の購入に当たってはできるだけ申請書のものと同一のものを購入すべく予算を執行した。そのために今年度分については当初計画と比して備品費が相対的に多くなってしまった。超音波精密距離計については注文生産でもあり実際に納品されたのは1994年9月になってからであるが、同年10月には試験を終え11月から実験に使用開始できる状態になっている。また解析情報の増大に伴って新たなデータ処理システムの構築が必要となり、16チャネル用のADコンバータ-を備え光磁気記憶装置を持ったシステムを購入した。このデータ処理システムと現有のシステムとの整合性を保ちつつ、システムのセットアップを行なった。その結果12月までに概ね作動する状況となり、1995年1月より当初予定の実験を開始している。実験系としては犬の急性実験モデルを用いた気絶心(stunned heart)での左室拡張能に関する生理学的解析系と病理学的解析系を並行して進めている。1995年7月までに動物実験を終了する予定で現在鋭意進行中である。 またこの虚血にまつわる諸問題の中でも気絶心についてはその機構自身が不明であり、将来的にも大きな研究課題となることが予想される。我々のこれまで提唱してきた左心室の拡張能における粘性の重要性はこの問題では特に大きく取り扱われることが他の研究結果から予想され、この問題を広く提起する目的で1994年9月には世界心臓学会で虚血心における心室の粘性と弾性の反応の違いを報告した。今後さらにこの点を追及していくつもりである。
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