研究課題/領域番号 |
06671368
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
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研究分担者 |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (40199691)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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キーワード | 無拍動流 / 人工心臓 / 遠心ポンプ / 組織血流 / サーモグラフィ / 末梢循環 / 体液性調節 / マイクロスクェア法 |
研究概要 |
手術侵襲を与えることなく覚醒下で体循環を無拍動流化した場合の生体変化を明らかにするために、100%左心バイパスの慢性動物実験で、拍動流ポンプから無拍動流ポンプに交換することにより検討を行なった。体重40〜64kgの成山羊5頭を用い、空気駆動方式の拍動流型左心補助人工心臓を、左房左室脱血、下行大動脈送血として装着し、術後2週間まで100%左心バイパスで拍動流による体循環を維持した。その後、補助人工心臓を遠心ポンプに迅速に交換して体循環を無拍動流化し、引続き2日間の観察を行なった。送血量は、無拍動流化前後で平均大動脈圧が等しくなるように調節した。体循環の無拍動流化に伴って、潅流量は増加傾向をまた全末梢血管抵抗は減少傾向を示したが、48時間後においても前値に比し有意の差はみられなかった(それぞれ前値106.8±20.0ml/kg/min、1476±323dyne・sec・cm^<-5>に対して、48時間後126.7±17.7ml/kg/minおよび1330±293dyne・sec・cm^<-5>)。全身酸素消費量および血清乳酸値にも有意の変化を認めず(それぞれ前値215.8±37.1ml/min、3.7±4.3mg/dlに対し、48時間後213.7±45.9ml/minおよび3.6±0.4mg/dl)、血中アドレナリン、ノルアドレナリン値(それぞれ前値0.05±0.04ng/dl、0.25±0.19ng/dlに対して、48時間後0.04±0.02ng/dl、0.16±0.09ng/dl)、血漿レニン活性、アンギオテンシルII、アルドステロン値等も前値に比し有意な差を示すことなく推移した(それぞれ前値1.3±1.0ng/ml/hour、8.8±0.4pg/ml、49.5±25.6pg/mlに対して、48時間後0.7±0.3ng/ml/hour、7.3±1.2pg/ml、および35.7±27.0pg/ml)。サーモグラフィによる末梢温は無拍動流化にともなう変化を認めず、またレーザーパルスドップラー血流計による末梢血流量も、無拍動流化前後および以後の実験期間中を通じて変化を認めず、さらに血流波形上の血管運動形態も明らかな変化を認めることなく良好に維持された。以上より、体循環の無拍動流化は、平均体血圧を変化させない条件では、覚醒状態の生体の末梢循環動態に対して有意な影響をおよぼさないことが明らかとなった。
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