1.各種胎仔CNS系組織の成熟ラット脊髄内移植モデルの作成 成熟Sprague-Dawleyラットの腰髄膨大部に左背側1/4切除腔を作成し、予め切断・反転した後根神経(L4/5)を切除腔底に併置し、胎生14日の脊髄、胎生16日の海馬、胎生18日の後頭葉組織を導入した。移植3ヶ月後の移植ラットの生存率は95%以上で、胎仔CNS系組織は生存ラット脊髄内に生着し、吸引腔を充たすように成長した。また、腰髄膨大部に灰白質に達する小holeを作成し、後根神経を挿入したモデルをコントロールとした。 2.後根神経の宿主脊髄への再生の評価 移植3ヶ月後以降に、移植ラットを灌流固定し、連続矢状断凍結切片を作成した。再生後根神経の特異的マーカーである抗calcitonin gene-related peptide(CGRP)および抗Big-Tau抗体を用いて、免疫染色を行って再生後根線維を標識した。CGRP標識線維は全宿主脊髄内に同定されたが、脊髄組織の移植ラットにおいて、より旺盛で随所に緻密な神経束が観察された。Big-Tau標識線維はCGRP標識線維と同様な再生様式を呈した。光顕に連結したビデオミクロメータ(Olympus)を使用し、宿主脊髄への後根神経の再生程度を定量的に比較検討した。CGRP標識後根神経によって占められる面積分画と分布域の結果は脊髄>海馬【greater than or equal】後頭葉>コントロール(p>0.05)で、胎仔脊髄組織の移植モデルで有意に高値を示した。検討した胎仔CNS系組織は後根神経の宿主脊髄への再生を支持したが、正常標的である脊髄組織の移植モデルにおいて再生の程度が最も旺盛であった。胎仔CNS系組織、とくに胎仔脊髄組織は損傷された脊髄反射弓の再構築を促進する環境を提供
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