研究課題/領域番号 |
06671372
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉井 輿志彦 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50110507)
|
研究分担者 |
奥野 洋明 生命工学研究所, 生体物質部,機能化学室, 室長
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
青柳 一正 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40114029)
早川 吉則 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90101740)
丸橋 晃 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (30114135)
|
キーワード | 陽子線 / 電離放射線 / ラジカル / DCFHDA / in vitro / SOD / GST-Tc / Immunohistochemical |
研究概要 |
今年度は、1)In vitro実験として、神経腫細胞に於ける酸化効果の併用薬剤の検討、2)臨床病理学的研究として、ヒト脳腫瘍摘出標本を用いて放射線・化学療法との関連に於ける抗酸化物質の細胞内発現に関する研究を行った。 (方法) 1)In vitro実験は平成7年度と同様の方法で行った。酸化効果の併用薬剤はbromocriptine(1,10,100μM)、carvedilol(l-100μM)を用いた。今回は蛍光反応を収録しているビデオテープをMacパソコンにて静止画像処理し、その画像を画像解析支援ソフト(IP-Lab)を用いて、ラジカル反応の定量的解析も試みた。2)脳腫瘍摘出標本をホルマリン固定、パラフィン包埋切片を作成し、抗酸化物単一抗体(Cu/ZnSOD,GSTpi等)をABC法にて染色し、抗酸化物の腫瘍細胞内発現の程度と酸化的治療(放射線・化学治療)効果との関係を検討した。 (結果) 1.bromocriptine1回投与では、約1.5-5倍の酸化増強効果が見られた。carvedilol1回投与では、10-45uMでは2-5倍の抑制効果が見られ、60-100uMでは酸化増強傾向にあった。しかし蛍光像と増殖率で、まだデータのばらつきが見られ、その原因としてDCFHDAの細胞内取り込み、washoutの問題等考えられるのでさらに検討する。2.画像解析支援ソフトを用いたラジカル反応の定量解析は可能となったが、calibrationをどのようにするか、今後の検討課題である。3.SOD、GST-piの発現は、多くの神経膠腫、脳転移、下垂体腺腫、髄膜腫、神経鞘腫にみられた。悪性神経膠腫の中で、2つ以上のstemlineを持ち、SOD発現の高い例は、術後放射線・化学療法に抵抗性を示すと示唆された。 陽子線におけるradiosurgery効果は強力なラジカル反応が惹起されると考えられるが、その際の細胞の酸化反応の発現程度、その防御機構能力、併用する薬剤間での酸化反応に対する増強・抑制効果を知っておくことが必要である。
|