研究概要 |
1)in vivo実験による応答機構解明 脳損傷に対するストレス応答を末梢神経(顔面神経)損傷モデルと中枢神経損傷(皮質損傷、中大脳動脈閉塞)モデルにより遺伝子発現の面より検討した。成長抑制因子(GIF)は、培養神経細胞の突起進展を抑制することが知られており、健常脳では豊富に発現している。顔面神経切断後には、顔面神経核におけるc-jun遺伝子発現が亢進しているのに反し、GImRNAの発現は切断3日目より著しく低下し、5週目まで持続した(1995,Mol Brain Res)。さらに圧挫傷、切断吻合モデルについて検討すると、神経機能回復時期に応じてGIFmRNA発現の回復が認められた(1994,Facial Nerve Res)。他方、ラット大脳皮質体性感覚領野切除モデル、及び中大脳動脈閉塞モデルにおいては、損傷後1日目にGIFmRNA発現は軽度低下するが、損傷側皮質全体で4日目に著しく亢進した(1995,J Neurotrauma,J Cereb Blood Floow Metab)。また、bFGFの局所投与により、損傷後1日目のGIFmRNA発現低下の増強が認められた(1995,J Neurotrauma)。ラット大脳皮質体性感覚領野切除モデルにおいて、c-fosの発現を検索し、NMDA受容体活性化との関連性を明らかにし、外部より投与したbFGFがc-fos発現を修飾することを明らかにした(1995,Mol Brain Res)。 2)in vitro実験による応答機構解明 ラット胎仔より神経細胞一次培養系を作成し、軽度の低酸素負荷がその後の高度の低酸素負荷に対する耐性現象をもたらし得ることを明らかにし、またbFGFの発現が一つの因子である可能性をNorthern blot、Western blot法で示した(1995,Neurosci Res)。
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