研究課題/領域番号 |
06671395
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
河野 兼久 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (60145076)
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研究分担者 |
榊 三郎 愛媛大学, 医学部, 教授 (30116933)
大田 信介 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194163)
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キーワード | 虚血耐性 / カルシウム / ミトコンドリア / 遅発性神経細胞壊死 |
研究概要 |
5分間の一過性前脳虚血に対する虚血耐性を獲得させた砂ネズミ海馬CA1錐体細胞における虚血負荷後の細胞内Ca^<++>の動態を電顕組織化学的に検討し、5分虚血に脆弱な本来のCA1錐体細胞および本来虚血に耐性を持つCA3錐体細胞と比較検討した。砂ネズミを2回の2分間虚血の前負荷により虚血耐性を獲得させた後に5分間虚血を負荷した虚血耐性群と2回の偽手術操作の後に5分間虚血を負荷した単純虚血群に分け、5分間虚血前から虚血再開通6時間までにわたり、両群のCA1およびCA3細胞細胞体ミトコンドリア内のCa^<++>濃度の経時的変動をオキサレイト・ピロアンチモネイト法を用いて調べた。細胞体のミトコンドリアをCa^<++>沈渣顆粒の全く含まないgrade0から多量のCa^<++>沈渣顆粒を含むgrade3にまで分類し、その分布を比較した。その結果、1)5分間虚血負荷直前にはミトコンドリアの分布には各群間に差を認めなかった。2)虚血再開通15分後、単純虚血群CA1ではCa^<++>をわずかに含むgrade1に属するミトコンドリアが、そして虚血耐性群CA1ではCa^<++>を多量に含むgrade3に属するミトコンドリアが最も増加し、再開通早期に既にその分布に差異が認められた。3)単純虚血群CA1では3時間、6時間ともgrade3は増加したままであったのに対し、虚血耐性群CA1では6時間で虚血前の分布に復した。4)虚血耐性群CA1と単純虚血群CA3におけるミトコンドリアのカルシウム動態は酷似していた。以上より、短時間虚血に耐性を獲得した海馬CA1錐体細胞では、虚血負荷により細胞内に流入したCa^<++>をミトコンドリアが速やかに取り込み、その毒性を減弱するとともに、その後迅速にCa^<++>を細胞外に排出する能力が優れているものと推察された。
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