研究概要 |
平成6年度は、先に提出した研究計画に従って実験を展開し、以下の研究結果を得た。 1)手術により摘出したヒト脳腫瘍(meningioma,glioblastoma)から高純度の微小血管を単離し、遠心後凍結して得たpelletから20μmの連続組織切片を作成し、検体とした。 2)これらの検体をレセプター標本として、radioluminographic imaging plate sytsemを応用した定量的レセプターオートラジオグラフ法により、各増殖因子受容体の特性解析を行った。放射性ligandとしては、^<125>I-endothelin(ET)-1、^<125>I-EGFおよび^<125>I-VEGF(165)を用いた。 3)meningioma、glioblastoma並びにその周囲脳の微小血管には高濃度の高親和性ET特異受容体が存在した。腫瘍組織由来の微小血管における結合部位はET_A受容体優位であり、腫瘍血管新生におけるこのsubtypeの重要性が示唆された。 4)両脳腫瘍の微小血管にはIGF-I受容体が存在したが、glioblastomaの方が約4倍の高密度であったのに対し、EGF受容体はmeningiomaの微小血管で優位に発現する傾向にあった。 5)両脳腫瘍の組織切片並びにglioblastomaの微小血管に、高親和性の^<125>I-VEGF(165)特異結合部位が認められ、その詳細な特性については現在解析中である。 このように、脳腫瘍のtypeにより作用による血管新生因子の種類やその受容体特性が異なる可能性が示唆される。次年度は主に、これら血管新生因子受容体の機能的意義について検討する予定である。
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