研究概要 |
組替えウイルス産生細胞PG13pDGL-HSVtk cellの培養上清を使い、ヒトグリオーマ細胞に感染を行い遺伝子導入した。この際、ヒトグリオーマ細胞の増殖能、細胞周期と遺伝子導入効率が相関するかどうかin vitroでたしかめた。 ヒトグリオーマ細胞の増殖能についてはdoubling time、細胞周期についてはPCNA,BrdU染色を調べた。Doubling timeの短い細胞で、またPCNA,BrdU染色率の高い細胞で遺伝子導入効率が高かった(第3回日本脳腫瘍カンファランス、1994年11月7日、那須)。Ganciclovirの細胞障害性はbystander effectによっても影響された(第7回脳と免疫研究会、1994年7月2日、宇都宮、第53回日本脳神経外科学会総会、1994年10月27日、徳島。Bystander effectにおけるギャップ結合については第2回脳腫瘍遺伝子治療懇話会において、1995年2月3日、佐賀県武雄)。 以上から現時点における結論は以下の通りである。遺伝子導入効率は増殖能の高い腫瘍細胞で高い。細胞周期G1後期からS期に発現するPCNA、S期分画を示すBrdU染色陽性率に相関して遺伝子導入効率がよい。Ganciclovirの治療効果はbystander effectも関与している。 今後in vivoについての結果、増殖能、細胞周期に影響を与える物質を作用させたときの結果を発表していく。
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