研究概要 |
1)動静脈瘻発生機序に関する組織学的検索 静脈圧亢進ラットの、樹脂注入による鋳型標本の走査電顕による3次元構造の観察は、再度注入条件を変更し試みたが、やはり静脈洞近傍の血管がきれいに抽出できなかった。ラットでは樹脂標本による組織学的検索は困難と考えられた。そこで、犬を用いで同様のモデル作成が可能かを検討した。犬の血管撮影を行ったところ、静脈系の構造はラットと類似しており、ラットと同じ手術で静脈圧亢進モデルが作成できることを確認した。雑種成犬1頭で本モデルを作成したが、翌日死亡した。本検討はしばらく中断している。 2)3)動静脈瘻モデルラットの自然経過、動静脈瘻の発現を修飾する因子 これらに関しては、従来の我々のモデルを用いて実験を行う予定であったが、Herman(J.Neurosurgery,539-545,1995)らが、我々と類似の静脈圧亢進モデルに静脈洞閉塞を加えることにより硬膜動静脈瘻が約40%に出現したという報告を出したため、我々も従来のモデル(動静脈瘻発生は約10%)に静脈洞閉塞、静脈洞損傷を加えることにより、より高頻度に硬膜動静脈瘻が形成されるかをまず、検討した。ラット20匹に動静脈シャントによる静脈圧亢進状態を作成後、10匹には静脈洞損傷を加え、10匹には静脈洞閉塞を加えたラットを作成した。本年度4月末にこれらのラットに血管撮影を行い、動静脈瘻の発生頻度が増加したかどうかを調べる予定である。
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