研究概要 |
今回は、Halpern,Bevan(Bevan J,Laher l:FASEB J.5:H2267-H2273,1991、Osol G,Halpern W:Am J Physiol 249:H914-H921,1985)らにより開発されたビデオシステムを利用した。今年度は、犬の脳低動脈、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、内頚動脈を正常クレブス溶液中でwater bathにセットし、血管内圧/血管径標準曲線を得、頭蓋内外の血管の特殊性を比較した。具体的には、血管内圧を0-120mmHgの範囲で20mmHg毎に30分の安定時の血管内径、外径、血管壁の厚さを測定した。この測定条件を安定化させ、次にPKC阻害剤であるH-7及びカルシウ--阻害剤のニカルジピン、エンドリン、フォルボールの血管内外投与による血管内圧/血管径曲線の変化を観察した。血管内皮細胞由来の弛緩因子である一酸化窒素の作用にも注目して一酸化窒素合成酵素であるL-arginine誘導体(N-ω-nitro-L-arginine:LNNA,10-4,-5,-6M)による血管トーヌスへの影響についても検討した。正常脳血管における血管内圧/血管径の関係は、予想したとうり100-120mmHgを契機にstableとなる。即ちこの段階でmyogenic toneが最大となることがわかった。従って、血管に対する各収縮、弛緩剤の効果はこのレベルで検討した。今回は、正常血管を対象にしたためにカルシウム依存性のmyogenic toneが主体であり、相加的に加えたH-7の弛緩効果は、ニカルジピン単独によるものより微弱であった。次年度は、実際の攣縮血管における反応と比較する。
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