研究概要 |
当該年度(平成7年度)は成猫を用い実験をおこなった。 本実験に先立ち、ケタミン麻酔ネコの大槽内に後頭下穿刺法にて経皮的にカオリンを注入し、注入後4-7日で急性水頭症が生じるのを待機した後、実験をおこなった。 脳内薬物注入の頭蓋内圧・脳局所血流に対する効果; 前脳基底部コリン作動系を化学的に賦活するため、グルタメイト、アセチルコリンの微量注入をおこない、caminoによる頭蓋内圧(ICP),:H_2電極法による脳局所血流(CBF)がどのように影響を受けるかを調べた。 (i)マイネル核(NBM)あるいは無名質(SI)にグルタメイトを微量注入するとICPの上昇(17.0±12.5mmHg→38.7±20.1mmHg,mean±S.D.)と、前頭葉脳血流の増加(33.1±11.0ml/100g/min,→48.5±9.2ml/100g/min,mean±S.D.)が惹起された。 (ii)中隔野(MS.HDB)にグルタメイト、アセチルコリンを微量注入するとICPの上昇(12mmHg→20mmHg)と全身血圧の極軽度の下降とそれに引き続いた軽度の上昇が起き、海馬領域のCBFの増加が観察された。 以上、前脳基底部に脳血管を直接抑制する機構、あるいは代謝を介する間接的制御機構が存在することを示唆する結果を得た。
|