研究課題/領域番号 |
06671422
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
田中 聡 帝京大学, 医学部, 助手 (40179750)
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研究分担者 |
西原 哲浩 帝京大学, 医学部, 助手 (50260930)
村上 峰子 帝京大学, 医学部, 助手 (90229972)
長島 正 帝京大学, 医学部, 助教授 (70217991)
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キーワード | ベスナリノン / グリオーマ / 分化誘導 / アポトーシス / GFAP / Fi-67 / Ley |
研究概要 |
経口強心薬として1990年より市販されているベスナリノンが培養神経膠腫細胞の増殖を抑制し、形態学的および細胞内蛋白の発現において分化誘導およびアポトーシスを誘導する可能性があることをすでに報告している。今回、われわれはヒト脳腫瘍を移植したヌードマウスにベスナリノンを投与することにより、経口投与によるin vivoでの有効性を確認する実験を行った。ヌードマウスの背部皮下にヌードマウス可移植性ヒトグリオーマ株GL-9を移植し、移植後13日目より、ベスナリノン500mg/kgの経口投与を1日1回連日25日間行った。この結果、ベスナリノン経口投与群では、約50%の増殖抑制効果が認められた。移植約5週間後に腫瘍を摘出し、ホルマリン固定の後、腫瘍の免疫組織化学的変化を抗GFAP抗体、抗Ki-67抗体(MIB-1)および抗Le'抗体(BM-1/JIMRO)を用いて検討した。抗GFAP抗体による免疫染色およびHE染色にて組織学的観察を行なったところGFAPの増加と形態学的変化により神経膠腫の分化誘導を示唆する所見が得られた。また、ホルマリン切片に抗原処理を行い、MIB-1抗体による免疫染色により腫瘍の成長解析を行ったところ、ベスナリノンによる増殖抑制が観察された。また、BM-1/JIMROを用いた免疫染色によりアポトーシス関連抗体の発現が増加するとともに、摘出腫瘍を70%エタノールにて固定し、クロロフォルム・フェノール法にてDNAを抽出し、0.8%アガロースゲルにて電気泳動を行うことにより、アポトーシスを示唆するDNAの断片化が観察された。以上の結果より、ベスナリノンはin vivoにおいてもグリオーマの増殖を抑制し、分化を誘導することが示され、臨床応用への可能性が示唆された。
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