研究概要 |
重症頭部外傷に対して脳流血と脳代謝を考慮した治療には,その効果判定に際して脳細胞レベルでの代謝・血流の評価が必要となる。すなわち,酸素の運搬能が消費量に見合わなかったり、消費量が異常に亢進している際には,細胞内では嫌気性の代謝が進行し,その結果細胞内のpHが低下する。そのような意味から我々は脳表神経細胞内pH測定用カテーテルを本年度開発し,成功した。本カテーテルは硬膜下に留置して脳表の神経内のpHをベッドサイドにて容易にかつ非侵襲的に測定する装置で同時に頭蓋内圧の測定も可能である。本カテーテルは先端のシリコンバルーンに生理的食塩水を満たし,硬膜下に挿入してバルーン内の二酸化炭素分圧を測定する。バルーン内の二酸化炭素分圧はバルーンに接した脳表神経細胞の二酸化炭素分圧と平衡に達し,Henderson-Hasserbachの公式により間接的に神経細胞のpHを計算するものである。本年度は6例の重症頭部外傷患者に対して本カテーテルを留置して病態を把握したが,来年度以降はさらに症例を重ね,その成績を発表したいと考えている。
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