研究概要 |
成熟家兎20羽(3.4±0.2kg)の右膝蓋腱を、液体窒素によるin situ凍結処理法を用いて線維芽細胞を死滅させた後、生食で解凍し20羽ずつ2群に分けた。第1群では膝蓋骨と脛骨結節間に鋼線をかけ膝蓋腱を弛緩させる方法で完全除負荷を行った(凍結除負荷群)。第2群では同様の手術を加えたが、除負荷の操作を行わなかった(凍結群)。術語3、6週で各群とも5羽ずつ屠殺した。5羽の左膝蓋腱に対しては屠殺時に液体窒素による凍結処理を行い、sham群の0週とした。残りの左膝蓋腱は何の処理も加えず、これをコントロールとした。膝蓋腱の中1/3を取り出し、長軸方向で三等分し、さらに各部分を表皮側と関節側に二分して計6個のブロックにした。各切片の中央で横断面の超薄切片を作製した。酢酸ウラニル-クエン酸鉛染色した超薄切片を透過電子顕微鏡にて観察し、超微構造学的解析を行った。定量化のためコンピュータ画像解析を用いて、切片の1μm^2の断面積内に占めるコラーゲンフィブリルの直径、数、面積占有率(%CF)などを求めた。 6週間の観察で、凍結処理は%CFには変化を与えないが(表1),900nm以下の細い直径のフィブリルの比率を増加させることが判明した。また凍結膝蓋腱に対する除負荷は直径が360nm以上径の太いフィブリルを出現させるものの,直径が90nm以下の細いフィブリルの数を著しく減少させることで,全体としては単位面積当りのフィブリルの数と%CFを低下させることが明らかにされた(表1).
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