1.凍結処理が膝蓋腱の力学的特性および超微構造に及ぼす効果 (1)凍結処理は3週以後に膝蓋腱の引っ張り強度およびtangent modulusを徐々に低下させた。しかしそれは膝蓋腱の断面積を増加させたため、最大破断荷重の低下は最小であった。 (2)凍結処理は3週では膝蓋腱の超微構造に有意の効果を与えていなかった。しかし6週では、90nm以下の直径を有するコラゲン線維の数を有意に増加させ、直径に関するヒストグラムを2峰性から単峰性へ変化させた。 2.除負荷が凍結処理膝蓋腱の力学的および超微構造に与える効果 (1)除負荷は凍結処理膝蓋腱の引っ張り強度およびtangent modulusを1週以内に著明に低下させた。断面積を増加させたが、最大荷重は著明に低下した。この変化は生きた細胞の非存在下に起っていた。除負荷の効果は、除負荷の程度に依存していた。 (2)除負荷は3週以内に360nm以上の直径を持つ太いコラゲン線維の数を増加させたが、全体としてはコラゲン線維の総数、およびコラゲン線維が腱の断面積中に占める割合を有意に低下させた。 3.除負荷が凍結処理膝蓋腱に与える効果の作用機序 除負荷は細胞の活動とは独立に、直接膝蓋腱のマトリックスに作用する。コラゲン線維の数の減少、各コラゲン線維間の摩擦力の低下、およびコラゲン線維そのものの引っ張り強度の低下、などが腱全体の引っ張り強度低下の原因と考えられる。
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