生後4、9、18、27、36日の幼若兎を5群に分け、血行再建を伴わない足趾第3、第4基節骨の交叉移植を行った。超早期に骨端線が閉鎖した例はなく、各群間に有意差はなく、全て健側比90%以上の成長を示した。 したがって成長帯を含む足趾骨移植での年齢の条件としては生後36日(ヒトでは4歳に相当)までは健側比90%の成長が期待できることが分かった。これは成長帯遊離移植実験を行っているHeikel、村岡らの報告結果(平均50%、3.2〜68.2%)に比し、極めて良好な結果である。彼らの実験モデルとの違いは(1)移植骨が小さく、(2)移植床の収容能が移植骨の大きさに適合していたため、成長帯の血行の回復や適度な物理刺激を受けるのに有利であったためと思われる。今後、移植骨の大きさの問題、移植床の環境について検討が必要になろう。 また生後36日で移植骨はすでに成長終了時の70%もの成長があり、36日を越える日齢のモデルによる実験は実験誤差を考えると評価が難しい。年齢限界に関してはこれ以上の進展が難しくなった。 上記内容は第37回日本手の外科学会で発表した。一方、組織標本では実験モデルが小さく、移植後の変位、変形もあって、標本作成が難航している。特にMicroangiographyでの評価は限界があり、移植骨の生存能力の証明として、免疫染色の実験を先行させた。免疫酵素抗体法による増殖細胞マーカーの証明は条件設定、特に脱灰作業による染色低下があり、現在試行錯誤中である。
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