平成6年度は、光電子増倍管、フォトンカウンター、グラスファイバー、および測定のための特殊な暗箱を組み合わせたシステムを考案した。そしてラットエアポーチを暗箱に設置し、MCLAを潅流させることで化学発光が測定できることを確認した。しかしMCLAは非常に鋭敏であるため、使用する濃度によっては特異性が低下することがわかった。そのため潅流液中のMCLAの至適濃度および潅流の至適速度を求める必用が生じたが、そのためには一定の関節炎モデルが無くてはならない。そこで今年度は、一定の関節炎モデルを作製し、このシステムの精度を確認する目的で実験を行った。生後6週から8週齢(体重200g〜240g)のラットに、フィルターを通した清潔な空気を注入し、一週間飼育してエアポーチを作製した。起炎物質としてカラゲニンと、死菌であるコリネバクテリアの2種類を用いた。それぞれの起炎物質を生理食塩水に0. 1%、0. 5%、1. 0%の濃度に溶解し2mlをエアポーチに注入した。カラゲニン刺激グループは、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後および48時間後に20μM MCLAを2ml注入し化学発光を測定した。コリネバクテリア刺激グループは48時間後に20μM MCLAを2ml注入し化学発光測定を開始し、さらに菌体成分であるリポ多糖体生理食塩水溶解液を注入して、コリネバクテリアの存在で集まった白血球を刺激し発光量の増加を調べた。その結果、起炎物質の濃度が高くなれば発光程度も高くなること、起炎物質が違えば発光程度が全く異なること、起炎から測定までの時間が長くなっても必ずしも発光量が増えないことなどがわかった。
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