骨肉腫患者ではの30%程度の抗癌剤耐性症例があるといわれているがその機序は明らかにされていない。本研究の目的は骨肉腫科学療法の主要薬剤であるMTXの耐性機序を解明することであり、我々は耐性機序として細胞内のdihydrofolate reductase(DR)活性の誘導を考えた。 平成6年度は、ヒト骨肉腫培養細胞株NOS-1でMTX耐性株を作成することを目標とした。方法は細胞株NOS-1に5μg/m1(低濃度)のMTXを持続的に加え続けることによって当初高感受性であったNOS-1を耐性株とするものである。この結果培養初期にはMTX5μg/m1で増殖が抑制されたNOS-1が5μg/m1では増殖が抑制されず、50μg/m1の高濃度でも再増殖が見られるようになった。このMTX添加後の増殖能力の変化はdye exclusion法による生細胞数測定でも、BrdUを用いた比色定量法でも確認された。比色定量法には本科学研究補助金にて購入したマイクロブレートリーダを用いた。MTX耐性細胞として、当初ヒト内分泌細胞癌株であるECC4とECC12を予定していたが、MTX処理によるNOS-1でMTX耐性株が得られたのでこれを用いることにした。次に対照とするMTX高感受性細胞出あるが、我々は培養初期のNOS-1細胞を考えていた。しかし、マウス骨肉腫細胞であるDunn骨肉腫細胞がNOS-1よりはるかに高い感受性を示すことがわかったのでDunn骨肉腫細胞も対照とすることにした。 これまでこれらの細胞に5μg/m1、50μg/m1の濃度でMTXを加え、1、6、12、24、48時間後に細胞を回収し細胞を破壊後、細胞中MTX濃度測定用資料として凍結保存した。現在MTXとDRの測定システムの最終調整に入っている。
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