【ウサギの膝の靱帯機能不全による変形性関節症での関節軟骨の無定形最表層および軟骨下骨の変化の観察】ウサギの右膝の前十字靱帯と内側側副靱帯の切離後2週間で、関節軟骨の無定形最表層は不整となり、一部で欠損しその下の表層のコラーゲン線維網が露出していた。軟骨実質部では、サフラニンOの染色性の低下、細胞の増多や集簇形成などの変性や、関節面周辺部からの増殖滑膜による関節軟骨の置換が始まっていた。術後1カ月半では、軟骨の消化変性は表層から深部へ進み、所々で亀裂や潰瘍を形成していた。骨形態計測上有意な軟骨下骨の増殖性変化は、この時期より明らかとなった。術後3カ月と6カ月では、軟骨の変性と軟骨下骨の増殖が進行し、関節全体として著しい変形を呈した。この実験的関節症では、術後2週間の早期より、軟骨の最表層の不整、表層の消化変性が見られ、軟骨下骨の変化は、これより遅れ、術後1カ月半以降に有意な変化を呈した。 【ウサギの膝の関節表面擦過により変形性関節症が発生するか調べる実験】ウサギの右膝の関節軟骨表面の擦過後2週間では、最表層は欠損しその下のコラーゲン線維網が露出していた。軟骨は染色性が低下し、表層の消化が見られ、関節面周辺部から滑膜による軟骨の置換が始まっていた。術後1カ月半では、軟骨の消化変性が進み菲薄化し、一部で潰瘍を形成していた。術後3カ月では、軟骨はさらに菲薄化し、一部では骨が露出していた。6カ月および1年時では、さらに関節症性変化が進行していた。関節軟骨表面の擦過後1年までの経過で、進行性の関節症性変化を認めた。これは、軟骨下骨に達しない軟骨の損傷では、進行性の変化を生じないとする従来の定説に反するものである。おそらく、擦過による軟骨表面の損傷の範囲が広範であったために、この様な差を生じたものであろう。本実験系は、新しい実験的関節症モデルといえる。
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