研究課題/領域番号 |
06671454
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐浦 隆一 神戸大学, 医学部・所属病院, 助手 (10252769)
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研究分担者 |
水野 耕作 神戸大学, 医学部, 教授 (90030981)
藤岡 宏幸 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10252777)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / 軟骨破壊 / 軟骨細胞 / 多核白血球 / 過酸化水素 / 一酸化窒素 / サイトカイン |
研究概要 |
慢性関節リウマチにおける関節軟骨の障害は、この疾患における関節破壊の最も重要な要因の一つである。これまで活性化された多核白血球の産生する過酸化水素により軟骨細胞が壊死に陥ることが報告され、炎症下における軟骨細胞の障害が関節軟骨破壊の機序として重要であることが明らかにされている。一方、近年種々の細胞が産生するナイトリックオキサイド(NO)の生理機能について世界的に注目されており、血小板、血管内皮細胞、平滑筋細胞、マイクロファージなどでの報告が多数見られる。しかし、関節軟骨におけるNOの産生系およびその生理機能について不明な点が多い。NOの生理機能の一つとして活性酸素の合成阻害による組織障害の抑制効果があげられる。そこで軟骨細胞のNO産生に関する解析を行ない、軟骨細胞が自ら産生するNOの活性酸素系を介した細胞障害に対する影響を検討するために、多核白血球の産生する過酸化水素による軟骨細胞壊死に対するNOの作用を検討した。NOの産生はGriss法を用いて測定した。 軟骨細胞をインターロイキン-1αで刺激するとNOの産生が経時的に増強された。また、NOはNOシンターゼの作用によりアルギニンから合成されるが、培溶液からアルギニンを除去することによりこのNOの産生は抑制された。一方、多核白血球を活性化したのちに軟骨細胞に添加すると軟骨細胞の障害が起こるが、この多核白血球を軟骨細胞由来のNOで前処置すると非前処置群と比較して軟骨細胞に対する細胞障害性が抑制された。これらの事実より、軟骨細胞は炎症下の刺激により自ら産生するNOの作用を介して活性酸素系を介した細胞障害に対して防御的に働く可能性が大きく、特に関節軟骨破壊の予防的観点から軟骨細胞のNO産生が関節軟骨破壊機序に重要であることが明らかにできた。
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