1.大気孔率のチタン線維金属の物性について 60%気孔率のチタン線維金属材料は、50%気孔率のチタン線維金属材料と比べ、3500Nまでの荷重条件において約50-60%の低弾性率体であることが判明した。また、降伏荷重量は、同条件下でほぼ同程度であった。変形に関しては、2500Nを境として、60%気孔率のチタン線維金属材料は横巾長が増大する傾向を示し、この荷重条件が安定強度の目安と判断された。この値は、移植骨に使用している腸骨、腓骨の強度と比較すると、ほぼ骨強度と同程度であった。この結果により、60%気孔率のチタン線維金属材料は生体骨により近似した物性を有する生体材料といえると判断された。 2.大気孔率のチタン線維金属の生体移植について 雑種成犬13頭の椎体部及び椎体間部へのimplant移植を行った。経時的なX線撮影と、組織学的検討により60%気孔率チタン線維金属材料は50%気孔率チタン線維金属材料と同様、良好な骨進入が確認され、テトラサイクリンラベリングにより長期においても、骨代謝機転が存続していることが確認された。打抜き試験では、特に6ヶ月時において60%気孔率のチタン線維金属材料の方が優れた骨結合強度を有していた。 本年度の実験結果により、大気孔率のチタン線維金属材料は、生体骨に近似した物性を有し、骨結合能の面でも優れた特性を認めることが確認された。
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