高血圧自然発症ラット(SHRと略す)の大腿骨頭壊死は、成長早期の生後7週から15週の大腿骨頭の骨端核だけに発生する。そして、そのほとんどは骨頭栄養血管であるlateral epiphyseal vessels (LEVsと略す)の閉塞によって起きる。 平成6年度までの科学研究費補助金による研究により、無処置のSHRの大腿骨頭を栄養するLEVsの閉塞には骨頭軟骨の脆弱性が関与していること、またLEVsには骨端核の血行途絶を起こしやすい構造上の特異性が存在することを明らかにした。これらの業績は、国際的な雑誌であるInternational OrthopaedicsやCalcified Tissue Internationalに掲載予定となっている。また、平成7年度の研究の目的は、SHRの大腿骨頭への機械的ストレスを増減させることによって、これまでに明らかになった特異的な血管構造がどのように変化するか、大腿骨近位部の血管鋳型標本を作製し、その立体的構造を検索することであった。 この研究によって、機械的ストレスによって骨頭外側の軟骨部に著しい歪みが起きること、その歪みによってLEVsは自然発生時にみられるものと同様な形態で閉塞することが明らかになった。この研究成果は、平成7年度の第10回日本整形外科科学会基礎学術集会の特別講演で発表した。また、国際整形外科基礎学会(アムステルダム、1996)でも発表予定である。
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